てっきり雨宮さんは助手席に乗るものだと思っていたのに、一緒に後部座席に乗り込んできて少し緊張してしまう。




「…眠いか?」



「っ、いえ!そういうわけでは!」




少し体を傾ければ肩が触れてしまいそうな距離。



どくどくと脈打つ心臓の音を聞かれたくなくて流れていく景色を見ていたのに、顔をのぞき込まれて変な汗が出る。





「スタジオまで少しかかる。無理するなよ」



「わっ」




ピタリと頬に添えられるミネラルウォーター。





冷ややかなそれとは裏腹に、胸は熱を帯びて。






「ほら、着いたわよ」





車を降りるまで20分くらいはかかったはずなのに、まるで一瞬のことだったように感じてしまう。