「まあでも、お前と睦月がああして談笑しているところを見て安心した」
「え?」
「あいつは昔からああでな。曲がったことが嫌いで、我が道を行くタイプ。だから、敵を作りやすい」
ふっと小さく笑いながらどこか遠くを見つめる瞳。
「正義感が強くて、面倒見がいい。ただそれが必ずしもいい方向に向くとは限らない。そうやって泣く姿を何度も見てきたのに変わろうとしないあいつをこれでも少しは心配してるんだ」
「そう、ですか」
「だから、お前がああやって仲良くやってくれているところを見ると、嬉しいんだ」
…胸が、いたい。
雨宮さんと睦月さんの絆を改めて見せつけられたようで。
睦月さんの話をする雨宮さんの表情があまりにも優しくて。
あれ、もしかして私、入る隙すら、ない?
「………なにを拗ねてるんだ」
「拗ねてなんかいません」
「嘘をつくな。睦月のことになるとたまにそういう顔をするだろう」
「そんなこと、ないです」
「ふ、妬くなよ」
「なっ…!!」
この人は、人の気も知らないで……っ!
クスクスと上品に笑う雨宮さんに腹が立って、あと図星をつかれたのが恥ずかしくて。
「もう、寝ます…!」
リビングから立ち去ろうと席を立ったのに、ぐっと腕を引かれてしまった。