「……おい」
その後はカレーを食べながら打ち合わせをして、最後の最後までラスト1すくいをどっちが食べるかで大モメした後、結局じゃんけんになって。
大の大人2人がぎゃいぎゃいと子供みたいにお玉を取り合う姿が可愛くて、その時ばかりは睦月さんがライバルだとか、そういうことは考えずに済んだけど。
「俺の飯なのに、なぜ俺の取り分の方が少ないんだ」
お腹も満たされて仕事も終わってルンルン気分で帰っていった睦月さんとは裏腹に、恨めしそうな視線を私に送ってくる敗者、雨宮綾。
「だからやらんでいいと言ったんだ。アホめ」
「す、すみません」
むぅ、と三十路前の成人男性とは思えない内容で拗ねている姿が可愛い。
しかも私の作ったご飯をこんなにも気に入ってくれているということが嬉しすぎて。
思わずにやけてしまいそうになるけれど、そんなところを見られたらまた怒られちゃうかな?