「睦月。食いたかったら金でも払うんだな」
「ちょっとちょっと…あんたってそんなに食い意地はってたっけ?」
「そういうわけじゃないが、こいつの飯は別格だ。将来いい嫁になる」
よ、よよよよ嫁………!!!!
もぐもぐと口いっぱいにカレーを押し込む雨宮さんの何気ない言葉にぼっと顔が熱くなる。
誰にでも褒められるのは嬉しいけれど、雨宮さんにそこまで言われると嬉しいなんて飛び越してしまう。
心臓がきゅうっと喜んで、全身の血液が沸騰したみたいに熱くなって。
「小娘、なにを突っ立っている。お前もさっさと食えばいい」
当たり前みたいに隣の席に手招いてくれる指先すら直視できないくらいには、重症。
自分の分と、こっそり睦月さんの分もよそって食卓につくと、雨宮さんは少し不服そうだったけれど。
「ねぇ、このカレーのルウって市販?」
「あ、はい!隠し味ですりおろしたリンゴとハチミツも少し入ってますけど」
「…なるほど。勉強になるわ」
うんうんと頷きながらあっという間に完食してくれた睦月さんを見てると、やっぱり人に食べてもらうのって素敵だなと思った。