そういえば、雨宮さんはもう帰っちゃったんだろうか。
着替えた後にもう一度体育館を見に行ってみたけどもう雨宮さんの姿は見当たらなくて。
もしかして幻だったのかな?
だとしたら、相当重症かも。
でも来てくれてとしたら、本当に私の本番だけ見に来てくれてたってことだよね?
ふふ。にやけちゃうな。
気持ちを認めてからは、随分と単純だ。
顔を思い出すだけで嬉しくなるし、些細なことで舞い上がってしまう。
こんなんで一緒に暮らすなんて私大丈夫かな。
ゆるむ頬をおさえながらたこ焼きを焼く私の手元に、お客さんがきたことで影がかかる。
「たこ焼きひとつ」
「はい!400円で、す」
「どうも」
今の私は機嫌がいい。
満面の笑みで顔を上げて、目を見開いた。