ねぇ、どうして?




どうして、いるんですか?




私視力だけはすこぶるいいので、見つけちゃいましたよ。





雨宮さんのこと、見つけちゃいました。





お仕事だって言ってたのに、どうしてこれたんですか?





急な予定変更?それとも、ロケが中止になったとか?





ううん、そんなことどうだっていいや。





「……すき、です」





うれしい。ただ、嬉しい。




嬉しくて、もう見ないふりはできなくて。






睦月さんがどうだとか、きっと辛くなるからだとか、もうそんなこと考えてられないくらいに。






雨宮さんが好きだと、口をついて出るほどに。






認めるしかない、この気持ち。






「いやー、最後のアドリブにはびっくりしたなぁ」




「すすすすすみませんっ!!」





なんとか本番が終わって、クラスTシャツに着替えた圭吾先輩が笑う。





「謝ることないよ。ていうか、むしろああいう方がよかったのかもね。」




「そ、そうですか?」




「躊躇いながらも次に行くっていうのも切ないけど、ああいう風に自分を取り巻く環境とか背景のことも考えてる暇もないくらいに口をついて出る声っていうのも真っ直ぐでキュンときた!勉強になったよ」