全校集会の時みたいに人でいっぱいな体育館で、みんなが私に注目している。




意識するとまた変になりそうで、とにかく舞台のことだけを考える。





もうすぐクライマックス。




これで本当に、終わり。





よかった。なんとかこのまま終われそう。





練習通り進んでいく舞台に密かに胸をなでおろす私。




でもきっと目の前の圭吾先輩はそんな私とは正反対で、本番が終わってほしくないような、そんな目をしてる。




圭吾先輩、本当に演劇好きなんだな。





逃げ腰の自分が恥ずかしくなって目をそらすように客席に視線を移すと、そこは本当に満席で。




色とりどりのクラスTシャツや、クラスの出し物の衣装で賑やかな客席。




体育館に並べられたパイプ椅子に空きはなくて、立ってみてくれてる人もいたりして。




嬉しいような、恥ずかしいような……って。





…もしかして、あれは。





「……サチ?」





思わず声を詰まらせた私に、圭吾先輩が再び呼びかける。




「…っ、」




だって、そんな、いるわけないのに。





お仕事だって、言ってたのに。






見つけてしまった。





小さな顔を覆うマスク。体育館が暗いからかカッターシャツの胸元にぶら下げれたサングラス。深々と被ったキャップ。



腕組みをしたまま入口付近の壁に背中を預けるその姿さえ絵になる、その人。