その間に割って入る勇気もなければ、方法もわからない。
きっと、私の知らない雨宮さんがそこにいるんだろう。
昔を懐かしんで目を細めたりだとか、相手につられて笑ったりだとか。
憂いを帯びた顔で、目を伏せる瞬間だとか。
…あぁ、でも。
その顔は知ってるや。
「食ってろと言っただろう」
「食べてます、よ」
「減っているようには見えないが」
電話を切って戻ってきた雨宮さんが、再び食卓につく。
「うまい。食わないなら寄越せ」
「た、食べますってば!」
今日のメニューは、煮込みハンバーグ。
サラダと、コーンスープ。
にゅっと伸びてくる雨宮さんの箸から自分のハンバーグを守ると、ふっと鼻で笑われた。
「なら、早く食え。食欲のないお前なんて見ていてつまらん」
「ひ、人を大食いみたいに言わないでください」
「違ったか?俺はハムスターみたいに頬袋をパンパンにしてる姿、嫌いじゃないぞ」
「ハムスター!?」
頬袋なんてついてませんから、私!
「私はれっきとした人間で…っ」
「ハムスターと人間のハーフか」
「なっ!!」
「ばか、冗談だ。」