「……よし」




圭吾先輩と別れて家に帰り、早速晩御飯の用意に取り掛かった私。




今日こそは謝ろうと気合いを入れてテーブルに料理を並べていると、丁度いいタイミングでドアが開く音がした。




「お、おかえりなさい!」




「………あぁ」





久しぶりの雨宮さん。




やっぱりこの間事件を思い出して直視はできない、けど。





「お風呂もご飯もできてますけど、どうされますか?」




平常心、平常心。




なるべくいつも通りにして、それであとで自然な流れで切り出そう。




「飯」




「じゃあ、すぐにご飯よそいますね!」





なんだか数日間すれ違い生活だっただけなのに、雨宮さんがやけに疲れているような気がする。




それもそうか。




すれ違い生活ってことは、朝は私より早くて帰りも私よりもずっと遅いってことだもんね。




「お仕事、お疲れ様です」



「あぁ」




缶ビールを差し出すと、受け取ってくれる手。




指先が少し触れて、思わず手を引っ込める。