息を吸い込んで…。スゥー。

七宮くんに…


−−届いて。




「グラウンドに輝く エースナンバー
僕は君と此処まで来たんだ
見つめる先は勝利しかない
此処にー来た証をグラウンドに 刻め!
此処にー来た証を勝利として 刻め!
駿太郎と目指した夢の舞台 いざ舞い上がれー!」



メガホンから一瞬口を離す。

そしてまた、歌おうとした…


その時だった。




カキィーン!



場内に鳴り響いた金属音。



私はすかさず目でボールを追う。




嘘、

嘘、

嘘……









「「逆転サヨナラホームラン!!」」

嬉しさに思わず、やったー!と叫んだ。

わあっ!っと歓声が周りから聞こえてきた。




そしてすぐに私の視界が歪んで見えなくなった。



「ちょ、羽見先輩泣かないでくださいよぉ〜」

後輩がおちょくる。…あんたも泣いてるでしょ。


バッターがホームベースを踏み、メンバーがホームベースの方に駆け寄る。



応援席の私達も、それぞれ固まりを作ってわんわん泣いたり喜んだりした。



「優勝校は桜河高校です。よって、甲子園出場は・・」


アナウンスが流れていたけど、歓声がまだ収まらなくってあまり聞こえなかった。



七宮くん、


あなたは本当にすごい。




七宮くん、


やっぱり私はあなたのことが大好きです。