「椎名さぁ」


彼に
名前を呼ばれた!
わたしは膝の上で
ぎゅっとスカートを握りしめる。


『な、何?』

「ここ、墨汁ついてる」

『え? え?』

両手で頬を拭うと

「違うちがう。こーこ!」