「俺は荒木さんを携帯に異動させてくれてありがたいと思ってます。こいつの元で腐らせて才能を潰すくらいなら俺が育てます。いい子で素直だからいくらでも伸びますよ」


親の前だからゆーちゃんとは呼ばないで、さん付けで呼ばれてなんだかくすぐったい。



「この子がサボったり不真面目になることはまずないと思いますが、安心してください。そうなったら俺が根性叩き直してやりますんで」


営業スマイル貼り付けて宣言したけど、それって私にも若干の圧をかけてるよね?
怖いなぁ…。


「そういうことで、この時間にも給料発生してるんで、仕事させてもいいですかね?」


「荒木、逢坂に言うことねぇのか」


山野さんが無理矢理切り上げようしたら店長代理がそれはそれは鬼のような表情で私を見ていた。


逢坂…?

と、航の方を見ると、さっきまでの電話が終わっていた。


あ、謝らないと…。




みんなが見てる前で航に謝るのか…。
嫌だけど、でも、私が悪いんだよね。



「あの…、ごめんなさい。迷惑ばかりかけて、すみませんでした」


パソコン作業をする手を止めて私を見てくれた。


「ご両親とはお話しできた?」


「え?」


なんか全然関係ないことを聞かれたんだけど…?


「手伝いに来てくれてありがとね。俺はいいから、ちゃんと話していきなよ」


「なんで、怒らないんですか」


「なんで、って?反省してる人を怒ったって逆効果じゃん。俺は結が頑張ってること、1番知ってる自信あるよ」



そんなこと言われたら泣いちゃうじゃん。