「はしたないというのは?」


私の疑問を店長代理も抱いていたらしく、首を傾げた。


「ええ、実は、数ヶ月前に家出をしまして。それも、男の家に転がり込んでいるとかどうとか。入社して間もないうちから男と同居なんて、どこのどいつか知りませんが、頭悪いんでしょうね、どっちも」



お父さんの話をうんうんと聞くお母さん。


こんな話をするために来たの?
わざわざ本人の前で?


ふざけてるにも程がある。



「男と同居ですか。それはそれは、はしたないですね。まぁ、その男というのは」


フッと楽しそうに笑って見たのは航の方。

え、バラすの?
てか、知ってるの?



「そこで荒木の尻拭いをしてる逢坂っていう使えない男ですけどね」


…………は?


散々いいように使っといて使えないって。


両親が食い入るように航を見るもんだから、電話応対中なのにこっちに気付いたらしい。

怪訝な顔でこちらを見ている。


お願いだから早く帰って。


「彼もただの一般社員なんですか?どれくらい働いてるんです?年は?」


お父さんはお父さんで航を馬鹿にしてる感じで腹立つ。


「あいつは2年目にして家電のリーダーになった人間ですよ。年は荒木の1つ上。家電は何故か使えない人間をリーダーにする習性がありましてね。誰1人として使える人間がいなくて困ってるんですよ」


よく言うよ。
航がなんでもやってくれるからってなんでも押し付けてるくせに。




コンコン


「接待中だ」


ノックが聞こえてドアから顔を出したのは山野さんだった。

店長代理が冷たく追い払っても出て行こうとしない山野さん。