20時からは携帯シフトになってたから山野さんに言いに行かなきゃ。

親が来るとか本当バカ。

どうせお母さんだろうけど、家を飛び出してからはメールも電話もなにも交わしてないから緊張する。



コンコン


「失礼します」


「どうした?家電は?」


オレンジジュース片手にクリームパンを食べていた山野さんが、ソファから立ち上がった。


「あ、あの、20時から携帯なんですけど、20時に親が来るみたいで…ちょっと延長しても大丈夫ですか?」


「親?」


心底驚いたのか、顔をしかめて私をじっと見てくる。


「なんか、今聞いたことだからよく分かんないんですけど…毎日私が働いてるのか確認の電話が来てたみたいで…」


「事務所誰いんの?」


「店長代理と航が…」


「ゆーちゃんの親、こうちゃんのこと知ってんの?」


「多分知らないと思います」


「……。20時ね。おっけ」


クリームパンを詰め込んでオレンジジュースで流し込んでから返事をもらえた。



職場に親が来るなんて、学校じゃないんだからさ。
本当恥さらし。

山野さんもすごい驚いてたし。


お客さんとして来るならまだしも。
事務所に御用って。

最悪。