休憩室に戻ってみんなの笑い声を聞いていたら段々惨めになって。

やめたい、なんて思ってしまった。


「りん?どした?」


人の違和感をいち早く察知するのはつり目。
お願いだからあたしの存在を無視して。


「……でもない」


「また喧嘩したの?山ちゃん口悪いから怖いよな〜。夫婦喧嘩になるともっとすごそう」


「……かれた…」


「ん?なに?」


「…………別れた。あたし振られた!」


あたしが声を張り上げてしまったから周りの人たちみんな、動きを止めてしまって。


至る所でザワザワと話し始めた。



「それ、どこまで本当?」


つり目が驚いた顔で聞いてきたけど。


「全部本当。なんで怒ってんのか聞いたら顔も見たくないって言われたよ。で、これ、投げられた」


ネックレスを見せながら話したらより一層驚いた顔をした。

驚いてんのはあたしも一緒だから。




「山ちゃんいるー?」


そこへやってきたのはしまだった。
もしかしたら何か知ってるんじゃないの?



「いないけど、聞きたいことあるからこっち来て」


「え、こわ…」


そーっとあたしの元まで来たしまに単刀直入に聞く。


「あたしが奏太に何をしたか知ってる?」



質問したら周りをキョロキョロ見て『知ってる』と答えられた。


「何したの!?教えて!」


「えぇ…言うなって言われてんだけど…」


じゃあ知らないって言いなさいよ。全くバカね。


「言いなさい。あたし短気だからね」


「……本社の人と飲んだ後…ホテルに…………」





!?!?!?!?


あんた!場所選びなさいよ!!!!!!!



「みんな聞かなかったことにして!!!」


慌ててみんなに向けて言ったら意外と気にしていなさそうで…つり目なんか『あ〜。いつものね』なんて言ってるし。

いつものってどういうこと!?
身に覚えがないんだけど?


「また覚えてないんすか?」


しまは怪訝そうに聞くけど…。


「飲みに行ったことすら覚えてない」


てか、いつものなら別に見逃してくれてもいいじゃんよ。


「あちゃー。俺と逢坂と安井さんと店長代理と、山ちゃんと高木さんとその他諸々20人くらいで飲み行ったじゃないすか〜」