指のサイズを測り終えて店員さんがお包みしてくださっている。


お値段38,000円もする小さな指輪を購入するにあたって、クレジットカードを手にスタンバっているんだけど、航は何故か私をレジから遠ざけようとしている。


何を考えていらっしゃるの!?


1つ38,000円なんだよ!!
2つで76,000円なんだよ!!


「ゆーい、あっちの服でも見ておいで。すぐ追いかけるから」


「話が違う!!聞いてない!!」


「言わないよ。あっち行ってて」


「だめだよ!よくない!やっぱり安いのにする!」


駄々をこねる子どものように航にしがみつく。
そんな私たちを見ている店員さんは苦笑い。
気まずいから早く折れなさい!


「お支払いは…」


店員さんも気まずそうにしてるじゃん!!


「一括で」


スッとカードを出してかっこよく言うけど、、割り勘で!って言わなきゃいけないとこだから!!!


「あ!だめ!こっちでお願いします!」


「それでいいです、気にしないでください」


私が一生懸命短い手を伸ばしたのに、店員さんは受け取ってくれなかった。


そして領収証が発行されてしまったのだった…。


「あああああああああ………。店員さんなんでぇ!?」


「ほら、困ってるから」


「私も困ってるよ助けてぇ」


76,000円っていくらよ…。信じられない。
こんな高い買い物をさせるために来たんじゃないのに…。








「航のばか…。ありがとうございます。大切にします。永久保存です。もう、こんな高いの…ううう…」



「元気出して。他に見たいとこは?」



「………あっち…」