とある小さな村のはずれ、小高い丘のてっぺんに古いお家がありました。

木の扉には剥がれかけた貼り紙が風にパタパタはためいています。

 『思い出屋 いつでもどうぞ 番号は123―321』

 中にはヨモギさんというおばあさんが一人、暇そうにぽつんと座っていました。

お店といっても、部屋にはなんにもありません。

そもそも、こんな所にわざわざ買い物に来るお客さんなんていないのです。

今も聞こえてくるのは葉っぱが揺れる音ばかり。

 じゃあ思い出屋って何を売っているのでしょう? 

実はこのヨモギさん、一つだけとっておきの秘密があるのです。それは……

 ジリリリリン ジリリリリン

ヨモギさんの目の前にある赤い電話が鳴り始めました。