『私もさくらっていうの! 』
『私の字は、咲くに良い。さくらくんは? 』

最初からチェリーボーイって呼ばれてたわけじゃない。
最初はさくらくんって呼んでくれてた。

でも、彼女いたことないって話したらいつの間にかチェリーボーイになってた。
まぁ、思えばこの辺からめっちゃ仲良くなった。

『よくない? チェリーボーイ! 名前のさくらともかかってるし。うんうん、我ながらいいセンスだ』
『私のことも、チェリーガールって呼んでいいよ? 』

そう言って、見せてくれた笑顔は今でも覚えてる。





出会って1年経って、高2の夏に盲腸にかかった。
死ぬほど腹痛かったけど、それでもあいつの顔を見ると少しだけ安心したし、痛みが和らいだ気がした。

『じゃあ、来週の月曜は1時に駅前ね』

正直、嬉しすぎて破裂しそうだった。
一応、いつものように拒否してみるけど実際そんなこと微塵も思ってないってのが、真実。


抜糸をしたのは、日曜日、チェリーガールが俺のとこに来る前。
その日は抜糸したとこが痛くて、あんま喋らなかったけど。

『明日ちゃんと元気になってよ! 』

そう言って、笑顔で去っていった。