「集中しすぎたね〜」



他愛ない話しをしながら

駐輪場に行くため

グラウンドの横を通っていると



―――ヵキー…ン―――

    ――ヵキーン…ッ――



「…野球部?」



グラウンドから響く音は

間違いなく金属バットがボールを打つ音で。


「ひゃ〜!

まだ練習やってるんだ!!」


グラウンドを見ると

白いユニフォームを来た人がチラホラいた。




こんな時間まで練習するんだ…




「野球部って言えば

やっぱ奈津だよね〜」



…へ?


佐伯くん??



突然出たあの人の名前に

あたしの肩がビクついた。




「カッコイイよね―」


…顔は、たしかにカッコイイけど…


「あの笑顔がいいよね!」


…あの人笑うの??