髪も染めず、ピアスも空けず、少しだけ目にかかった前髪を横に流す姿が爽やかで、唯一の問題点は提出物だけ、の謎だらけ都会人岡田優を東京の端っこに位置するこんな街にまで会いに来た少女。しかもアポイント無し。てゆうか、この服いくらすんのかな。
俺は興味を完全に衣装の方に向けられながら答える。

「悲しいことに親しいんですけど、あいつなら中に居ますよ?たぶんまだ出てこないけど」
「えー……結構待つ?」

ゴスロリ少女が首を傾げるとゆるい巻き髪が風でふわりと舞った。

「たぶん……。あ、じゃあウチ来ますか?優、どうせ来るし」
「え、でも、それって」

何気なく提案した俺と戸惑う少女の目が合い、二人の間に流れるは沈黙。あ、なんかこの感じ、似てる。心の奥底まで見えているかのような、その目とか。緩く閉じる無防備な口とか。一瞬、フリーズしたロボットみたいな顔が、あいつにどことなく似ている。
少女の青がぱっと光り、それは瞬きを意味していた。

「口説いてる?」
「全然」