こんな感じで続いてきた俺達の3ヶ月。長かったようで短かったようで、でも確実に流れた90日。何が変わったかと考えると、身体の変化以外思い当たらない俺らの青春。

また3ヵ月後もこんな風に確実にやって来て、何かを失くし、何かを得た俺がそのことに気づかないまま「俺は何にも変わってないよ」と呟き、そこにいるんだろう。

その隣で、優はどうしてるんだろうか。未だ夢を夢見ているんだろうか。


「飯どーすんの?買ってく……あ」
「は?買って食あってナニ?」

俺が振り返ると、急に声を上げた優が今来た道を見ては俺を見て、を繰り返して口をパクパクさせている。どうやら何かを忘れたらしい。
俺はため息を吐いて首を傾げる。

「どした?忘れもん?」
「提出!忘れてた。ノートまだ全部書けてないんだった」
「ああ、じゃあ後で来いよ。俺んちわかんだろ?先帰ってる」
「悪い、すぐ行くわ」

優は申し訳なさそうに顔を歪ませ、手を振って階段を駆け上っていった。成績は決して悪い方ではない優。だが、極端に提出物状況が悪い。一度、優が1人暮らしをしている部屋に遊びに行った事があるけど、広さの割に何もなかった事しか覚えていない。生活感がないというか。生気がない。とても、殺風景な部屋だった。

記憶に残るようなものが一つもないのだ。というか、何もなかったと言ったほうが早いかもしれない。最低限のものさえも満足に揃わないその部屋では、俺より身長のある優が何だかとても小さく見えた。