流れる一瞬の静寂も、誰か一人が話し始めれば後を追うように簡単に破られる。これが集団の良いところであり、悪いところだ。

そして今の場合は、完璧に前者の方だろう。

「それ、なに?カワイソウって、どういうこと?」
「だから、オトコと、オンナの関係なんだろ?お前ら。でも、優には彼女がいて……」
「ちょ、ちょちょ待って。俺に彼女?オトコとオンナの関係?」

違うの?と首を傾げた俺を優はねっとりとまとわりつくような目で見た。そして盛大に肩を落とし、呟く。

「妄想癖があるの……?」
「想像力と言ってくれ」
「何の根拠もない想像を妄想っていうの!それ何の根拠があるの」
「インスピとでも言おうかな」

俺が言うと、優は椅子にもたれかかり顎を置いた。人差し指が忙しなく机を叩く。その聞こえないはずの音が俺の心臓と重なって、まるで俺の脈を見ているみたいだな、と優の指を見つめた。

そして、その指がぐにゃりと他の指と一緒に収まり、彼が拳を握ったのだとわかった。

「真木綿は、俺が中3だった頃に初めて出来た友達なんだ」