「おまたせ!ミユの好きなココアあったよ」
「…ありがと」

コウはあたしから少し離れて座った。
…急に距離感気にしてヘンなの。

「お前はさ、最近どーなの?」
「なにが?」
「なにがって、恋愛とか?彼氏作る気ないの?」
「んー、好きな人いないからね。コウは?」
「おれは、うん」
「うんって」
「できた」
「…は!?」
「彼女、いるよ」

あれ?

「うそ、あんたに!?」

なんか、胸が苦しい。

「失礼だなぁ。俺結構モテるんだよ?」
「…ふーん。」

確かに、こいつは中学の頃からモテてたから高校生で彼女のひとりやふたりいたって不思議ではないか。

「どんな子?」
「めっちゃ可愛い。明るくて元気で、ミユと違って乙女な感じ?」
「あっそー!」

…わかってるし、そんなの。

「俺、初彼女だし大事にしたくて。色々相談乗ってもらうことあると思うけどそこよろしく頼むな!」
「はぁ?やだよなんであたしが」
「いーじゃん。お前女の子なんだから」
「…しかたないなぁ」

ー…言えない。
彼女いるって知った時
意味もなく泣きそうになった。

…わからない。
今まで一番近くにいられたこの場所が、他の誰かで埋まるのが嫌だから?

今まで女の影すらなかったくせに、急に彼女できて驚いてるだけ?

…あんなことされたからだ。
男に危機感持てってことを教えてくれたのはわかるけど。
危機感どころか、余計な感情まで邪魔をする。

あたしは彼にとって信頼できる相談相手。
何でも話せる、ただの幼馴染み。
ただ、それだけ。