「ちょ、は!?」

あたしの両腕はコウの両手に押さえつけられていて、コウはなぜかあたしの上にいる。
待って待って、何この体勢!?

「怪力女だったくせに、抵抗できないの?」
「ばか!離してっ」

顔熱い…絶対顔真っ赤だ。
ていうか…あれ?
コウってこんな体大きかった?
日に焼けた肌、血管の浮き出た逞しい腕。

男…。

長い沈黙。
それを先に破ったのはコウの鼻息。

「ふっ」

…え?

「冗談だよ。俺がお前に手出すわけねーだろばーか」

優しく笑いながら、手を離して隣に腰を下ろした。

「俺だからいいけどもう高校生なんだから。男の部屋に軽々しく上がんなよ!何されるかわかんないんだから」
「…うん」
「飲み物とってくる」

軽くあたしの頭を撫でて、部屋を出ていった。
消えた後ろ姿。
熱を持った手首。
手も、体もあたしより全然大きくなってた。
あたしの知ってる頃のコウと全然違った。

…思い知らされた。
あいつもちゃんと男だってこと。
…へんなの。
なんでこんなドキドキしてるんだろう。
今までこんなこと無かったのに。
思春期だから?
うん、きっとそうだ。
だって、彼はただの幼馴染。
『冗談だよ』
少し悲しくなった。