「ゴホッ……ゴホッ……うっ……」

その場にしゃがみこみ、必死に息を吸い込む。

「真子も他の子と一緒だった。結局、みんな最後は裏切るの」

セイラはそれだけ言うと、スッとあたしから視線を外してトイレから出て行った。

しばらく肩で息をしていると、呼吸が安定してきた。

「なんなのよ、あれ……」

立ち上がって手洗い場の鏡で自分の首元を確認すると、抑えられていた部分が赤くなっていた。

セイラのあの細い腕にどうしてあんな力があるっていうの……?

信じられない。全身に鳥肌が立つ。

セイラという存在に恐怖が募る。

あの子、おかしい。絶対におかしい。

腕に浮かび上がった鳥肌を必死に手のひらでこする。