教室から出て行ったセイラを追いかける人はいなかった。

教室内がシーンっと静まり返り異様な空気が漂う中、蘭が声を上げた。

「あれなんなの~?泣いてると思えば笑ってるし。頭どうかしちゃった~?」

蘭の言葉に雰囲気が和らぎ、クラスメイト達がクスクスと笑う。

「真子がセイラの手をはたいた時、スカッとしたわぁ~!ねぇ、みんな?」

「だよね~!」

「ホント、いい気味だし!!」

クラスメイト達が蘭の言葉に賛同するように、悪口を言い合う。

みんな満足げな表情を浮かべて共通の敵であるセイラを泣かせたことを心の底から喜んでいるようにみえた。

でも、なぜかあたしはそんな気分にはなれなかった。

あのセイラの目……。セイラの挑発的な表情が引っかかる。

「あたし、ちょっとトイレ行ってくる」

あたしは蘭に笑いかけると、教室を飛び出してセイラの後を追った。