「都合のいい時だけ被害者面するのやめてよね」

セイラが驚いたように大きく目を見開く。

「真子……」

悲しそうに顔を歪めるセイラの目の端から一筋の涙が頬を伝った。

もうこれで終わりだ。セイラだって分かっただろう。

もう二度と、あたしとセイラは昔のような関係には戻れない。

狂ってしまった歯車はもう二度と戻らない。

すると突然、セイラがうつむき肩を震わせた。

「ふっ……ふふっ……」

気刻みに震える細い肩。

「ちょっ、アンタこの状況で笑ってんの!?」

蘭が苛立ったような声を上げる。

その瞬間、セイラは何事もなかったかのようにその場から立ち上がり教室の扉の方へ歩き出した。

え……?

一瞬だけ、セイラと目があった。

セイラは口の端を挑戦的に持ち上げて笑っていた。