正直、ほっとした。

やっぱりあたしの感覚はおかしくない。誰だってセイラの行動は目に余るものがある。

悪いのはセイラだ。あたしじゃない。

「ねぇ、みんな。セイラのこと、ハブろうよ」

提案したのは蘭だった。

クラス内で発言力のある蘭の提案を受け入れない人はいなかった。

みんな多かれ少なかれ、セイラの存在を疎ましく思っていたらしい。

すべてにおいて完璧なセイラを見ると、自分自身がちっぽけに思え劣等感にさいなまれる。

「そうだね。やってやろうよ」

「やろ!あの子が悪いんだもん」

セイラという共通の敵が現れたことにより、クラスの女子の結束は固くなる。

クラスメイト達がここまでセイラに対して不満を募らせていることにあたしは気付いていなかった。

「あの子ってさ、時々男に色気つかってたよね?」

「わかる!あたしの彼氏にも手出そうとしてたし!」

正直、セイラが男子に色目をつかっているところなんて今まで見たことがなかった。

だけど、ハルトのことを保健室で誘っていたのは間違いない。

何だろう。この違和感。

ワイワイと盛り上がるクラスメイト達を横目に、セイラに対して言葉にはならない違和感を感じていた。