「熱はねぇな。俺の風邪うつしたかと思った」

千紘がそう言って、ふと私と目が合う。

至近距離。

こんな近くで千紘と目を合わせたことなんてあったっけ?

わ……肌きれい。

いいなあ、髪もサラサラしてる。

なんて、なにかを誤魔化すみたいに必死にそんなことを考えながらも

鼓動はさっきよりも速まっていく。

トクン、トクン、トクン、トクン……

千紘の目がどこか切なそうに揺れて、

視線が逸らせない。

何か言わなきゃ、そう思って口を開こうとしたとき。