凛はそう言ってスッと目を伏せてから、

次に目を上げたときにはもういつも通りの笑顔を見せる。

「なーんかお腹すいたね!晩ご飯なにかな」

「え、えーと、今日はたしかクリームシチューだったと思うよ」

「クリームシチュー!待ち切れないや、早く帰ろ?」

「うんっ」

そう言ってさっきより早足になりながら、

凛の言葉が頭の中をぐるぐる回っているのを感じる。

『ちーちゃんのこと話すとき、いつもと違う雰囲気になるよね』

……そんなことない。

そんなことないよ。

なにかを押し込めるように心の中で何度もそう呟き、

そんな私を見つめる凛には気づかないまま、家路を急いだ。