私たちは茶色のベンチに座った。


はやく話して、とでも言うように私の方に顔を向け目を合わされる。

目は快斗に吸い込まれそうなほど見つめられて、逸らせなかった。


私は2人の静かな空気を断ち切るようにひとつひとつ話した。


「あのね、実は自分でも快斗に告白される日まで忘れてたんだけど、私小学校の時嘘で告白されたの。多分よくある賭けみたいな感じかな。」

でね、その嘘で告白してきた子が私の初恋の子で。」

そういうと快斗の眉にシワが寄る。


そりゃ、振った人に初恋の時の話をしているんだからそうなるのは当たり前だろう。


でも、私は口を止めずに話し続ける。

「で、騙されちゃったんだよね。
好きだよって言われたから、私もって言ったら嘘なのにってバカにされて。

次の日学校に登校したら下駄箱にゴミとか画鋲とか変な手紙とかが入ってたり、黒板には私なんかが告白したことが書かれてた。


あの日からは女子からも男子からもいじめを受けるようになって。

それで女子校の中学を受けたの。地元の子とも男性からも離れるために。

それで、高校も迷いなく女子校を受けて今に至る。


快斗はちゃんと私を思ってくれて告白してくれたのも分かってる、というか信じてるんだけど

頭では分かっていても心を動かすことはできなくて。

あの日も頭と口が一致してくれなくて知らない間に快斗を傷つけてた。

ごめんね。私、自分を守るために自分にまで嘘をついて自分を守ってたの。
過去にとらわれて脱出できなくて人を傷つけるなんてほんと最低。ごめんね。この一週間ずっとちゃんと謝りたかったの。」