瀬奈はちなみに彼氏さんと帰るらしい。


だから今日は約1時間快斗と2人になる。

が、みんな全校生徒が一斉に帰るのできっつきつの満員電車。


人がゴミのように押し込まれている。


私たちは運悪く掴むものも何も無いど真ん中に立っていた。

ある急カーブで踏ん張りきれず、上体が横に倒れかける。


「あれっ?倒れてない...。」


そう言って見上げると快斗が腕をまわして支えてくれていた。

「あっぶね。」


「ありがとう。」


「いいえ。」


と言った快斗の顔は何故か強ばっていて首を傾げるばかりだった。