すると、快斗は声を押し殺して泣いた。


何分そのままでいただろうか。


やっと快斗が落ち着いてきた頃。


手を握られた。


「ごめん、もう大丈夫。
ありがとう。」


さらに手を強く握られた。


私はその手から手を抜いて快斗の前に座った。


快斗は驚いた顔をして下を向いた。


引っ込めようとしたその手を私は勢いよく掴んで自分の方に引き寄せる。


「快斗。
自分のことは自分で抱え込んじゃダメだよ。人に吐き出さないと。ちゃんとこれからは私じゃなくてもいいから誰かに話して。もし私で良かったらいつでも話なら聞けるから。」


すると快斗はさっきのせいでなのか潤んだ瞳のまま微笑んだ。


それは今日1番の笑顔だった。