「俺、本当は医者になりたい。前までは、小さい頃熱でやすくて病院、毎週のように通っててさ。小児科の先生になりたかったんだ。

けど、お父さんが精神科で入院するようになってから担当してくれてる先生に憧れるようになって、いつの間にかそっちに目標が行ってた。

だから大学は心理の学部に行きたかった。いや、今も行きたい。

けど、だけど、もう貯金がつきそうなんだ。もう、無理なんだよ。バイトだけじゃカバーできるような額じゃないんだ。入院費だけじゃなくて薬の分もいるし。

だから大学は諦めたんだ。」



私は涙が止まらなかった。


快斗はどんな表情をしてるのかと思って顔を上げると、快斗も泣いてた。


快斗が泣いてるのは初めて見た。


気がついたら席を立って後ろから快斗を抱きしめてた。


いつも快斗がしてくれてるからだろうか。


迷いなく体が動いた。