「凛、ちょっと飲み物買ってくるから待っててくれる?」
「はーいよ!気をつけなさいよ!」
うん!と返事をして、人をかき分けながら奥へ進む。
やっぱり、今日は予想以上に人が多い。
近くの屋台まで行くのに、こんな苦労するなんて…
それでも人混みに押されながらも頑張って前へ進む。
屋台まであと5mもなくなったとき、目の前に男二人組が現れた。
「やあお姉さん!今日一人?」
「よかったら、あっちで俺らと遊ばない?」
うげ…これって世にいうナンパ?
「あの…私今日一人じゃないので…」
「まあまあそう言わずにさあ〜」
男一人が私の腕を掴む。
その瞬間、全身に嫌悪感が走る。
腕を振り払っても、やっぱり男の力だ。
勝てるわけがない。
「結構暴れる子だね」
急いで行こうぜ、と言いながら私を連れていく男二人。
やだやだやだ、怖い誰か助けて!!!
心の中でそう叫んだとき、
「あの、こいつ俺の連れなんで離してもらえませんか?」
と、よく聞き覚えのある声が聞こえてきた。
そこには、息を切らした高瀬が立っていた。
「っち、男かよ…」
と、虫の居所が悪そうにそそくさと帰っていったナンパ男二人組。
た、高瀬…また助けてくれた…。
しかも、走ってきてくれたんだよね…?
「高瀬、ありが「このばか!」
え、
「なんで一人で出歩いてんだよ!」
「の、飲み物買いに来ようと…」
「だったら他のやつとか連れてけよ!!」
なんだか、いつより口調の強い高瀬。
「ご、ごめんなさい」
「ほんと…ビビらせんなよな…」
高瀬…本気で心配してくれてるんだ…。
それなのに、私は…。
「ごめんね、高瀬、もう絶対しないから、許して?」
少し震える指で高瀬の手を握る。
「……いや、俺も怒鳴りすぎた、ごめん」
「ううん、今回は私の完全なる不注意だから……って、乃々華ちゃんは!?」
そういえば、さっきから乃々華ちゃんを見ていない。
まさか私の代わりにあの可愛らしい乃々華ちゃんを!?
「あ〜、乃々華はあいつらの後始末にいってると思うけど…」
ん?後始末?