――――――――――――――――――
_______________ドサッ。
後ろを振り返ればそいつが倒れていた。
「は、え、ちょっと!」
急いで駆け寄る。
意識を失っているみたいだ。
待って。
これってどうするべきだ。
「とりあえず嘉月さんに連絡……っ!」
でも、電話番号知らない。
こんなことなら聞いておけばよかった。
「えっと、前はどうしたっけ…」
前に倒れた時ってそのまま保健室に連れていった。
救急車とまではいかなくていいのか。
「くそっ!こんな事考えてる時間ないよねぇ」
急いで抱えて、こいつの家に向かう。
家を知っててよかった。
インターホンを鳴らせばすぐに出てくる。
「彩月!遅かっ…!は、晴くん!?彩月は…っ!」
急いで中に入れられる。
そして、リビングのソファに寝かせる。
「晴くん、彩月は急に倒れたのか?」
「写真の撮りあいして、帰ろうとしたら急に…」
俺がもっとしっかりしていればこんなことにならなかったかもしれない。
もっと気をつけていれば事前に防げたかもしれない。
「最悪だ……」
「晴くん、ありがとな 連れてきてくれて」
「は…?」
何言ってるんだこの人は。
俺がいながら妹が倒れたっていうのにさ。
何感謝してんの。
もっと、こう、さ。
“なんでお前がいながら…っ!”とか言ってくれた方がまじななんだけどねぇ。
「他の人だったら彩月は放置されてたかもしれないだろ?」
だからそばにいてくれたのが君でよかった、と。
「いえ、俺は何も…」
「じゃあ、目覚めるまでここにいてくれ」
「きっと、彩月も君に会えた方が嬉しいと思うから」
本当にそうだろうか。
そう思いながらそいつの顔を見る。
安らかな表情。
何を見ているのだろうか。
さっき俺はこいつを困らせて。
泣かせてしまった。
倒れる直前まで気づかなかった。
そんなやつが待っていてもいいのだろうか。