楽しかった。

こんな時間が続けばいいと思った。


「はぁ、疲れたぁ」
「でも楽しかったね」

お互いベンチに腰を下ろす。
沢山写真が撮れた。
前に比べて晴くんが微笑んでくれるようになった。
まだ、すごい笑顔とは言い難いけど。
でも、それだけでも嬉しい。


「晴くんって、綺麗だね」

前にも同じことを言ったかもしれない。
だけど、撮った写真を見て、改めてそう思う。

「見た目だけが取り柄だからねぇ」


「見た目だけじゃなくて、性格も綺麗だよ」

晴くんは性格も中身を綺麗。
普通の人だったら、記憶がなくなる人間と一緒に居ないだろうから。

「あ、そろそろ帰らないとお兄ちゃんが心配しちゃう」
「そうだねぇ」
最近暗くなるの早いし、と言って立ち上がる晴くん。
私もそれに続く。
しかし……。




あ、だめだ。





直感的にそう思った。


立ち上がったが、膝から崩れ落ちる。



「あ、」



地面につく前に、そのまま意識を失った。