港のある町に、古い建物をリノベーションした、コンクリートむき出しのカフェがある。

外壁には、ペンキで、『100*100』と書かれている。

コンセプトは、100%有機栽培の食材を、100点満点の味付けで、調理するという、オーガニックカフェ。

・・・なんだけど、キッチンから、焦げくさい臭いがする。

キッチンに行ってみると、真人くんが、

「どうしよう!焦げちゃった~」

明日のスープの仕込みを、失敗したらしい。

『まったく、料理できない人がキッチンに応募して、採用されるって、どーなってるの。。』

うるうるとした目で、

「小森さ~ん。どうしよう。。」

真人くんが訴えてくる。

『もぅ、助けてあげたくなるな~!』

私、小森ひろみは、バイト仲間の真人くんに弱い。

「白ワイン入れてみたら、どうかな!」

白ワインを投入して、味をみてみる。

『少し焦げた味はするけど、さっきより良くなったかも』

真人くんも味見をして、

「小森さ~ん!すごい!天才だよ!!」

ほめてくれた。

『調子いいなぁ~。でも、嬉しい。。』

真人くんに、ほめられると、ニヤニヤしてしまう。

ニヤニヤしちゃうのは、今日だけじゃない。

もう、初めて会った時からにやけてたと思う。