移動手段の電車の中。

ものすごく今更なことにあたしは気付いた。


「ね、ねえ……。何であたしの住所知ってたの?」


あたしには教えた記憶はない。

なのに当然のように来ていた神代君とそのおまけ。


「白浜さん」

「えっ、マキ!?」


マキの名字は白浜。

……なるほど、マキならあたしに無断で教えてしまいそう、納得。


でも一言くらい言えよ。

ガタンガタンと規則的に揺られながら、あたしは脳内でマキに毒づいた。


神代君があたしの服の裾をちょいちょいと引く。


「次のとこで降りる」

「え?次?」


どこ行くのか聞いてなかったけど、降りるところにあるのは……。


「遊園地?」


あたしが尋ねると彼はうん、と頷いた。

遊園地……!


あたしは目を輝かせた。


何を隠そう、あたしの理想の初デート像は遊園地デート。

ベタかもしれないけど、あたしの稚拙な脳ではそれくらいしか思い浮かばない。


少女マンガの読み過ぎだと、マキや他の友人にはよく言われる。

でも憧れてしまうものはしょうがない!


そうこうしているうちに、電車は止まる。

あたしは神代君に右手を引かれながら電車を降りた。


レイはずっとつまらなそうな顔をしていたけど、あたしは全く気にしていなかった。

ついてくるのが悪いのよ。


レイなんか気にせず、今日は夢の遊園地デートを満喫するんだから!