表情が固まってしまい、目線をずらした。

何やってるんだろう、私。

まるで意識してるみたいな行為。

普通にしてた方が私も日下部さんも楽に居られるのに───・・・・・・

「皆さん、お疲れ様です。こちらのテーブルは盛り上がっていて楽しそうね」

「お、お疲れ様です」
「社長、お疲れ様です」

彩美と高橋さんの話題で盛り上がっていたら、社長が秘書と一緒に巡回に来た。

社長が来たとなると、上司達も一瞬で目が覚めたかの様に一同起立して挨拶をする。

年に一度の無礼講なアピールタイムに上司達は必死である。

社長が来たことにより、違う場所に行くチャンスを逃してしまい、上司達の話に愛想笑いを浮かべる。

一人一人の話を聞いていき、残りは綾美と私になった。

「企画開発部の秋葉さんと杉野さんね。杉野さんの分析力は素晴らしいと聞いているわ。これからも情報の収集と分析に力を入れて、良い商品を開発して行きましょうね」

企画開発部には、マーケットリサーチが不可欠で営業マンと一緒に店舗に出向く事もあれば、今後の流行などの情報収集、分析力が欠かせない。

既存の商品を改良するよりも、新製品を開発する方が遥かに大変でより高精度な収集力、分析力が必要になる為、綾美は即戦力なのだ。

「ありがとうございます。これからも頑張ります!」

お礼を伝えて社長と握手をする綾美。

「秋葉さん、お疲れ様です。今度のウェディング参入は秋葉さんのデザインにかかっていると言っても二言はないわ。大好きなのよ、秋葉さんのデザイン。私の独断で選ばせて貰ったの。ウェディング関係の仕上がりがとても楽しみ。これからもよろしくね」