新学期になった。
あれから乃々香とはLINEはしているものの、直接会ってはいない。
でも、今日はクラス替えの前に一度前のクラスでHRをするから、必ず会うことになる。
会いたい反面、どうしようかと悩む。
「春馬、はよー。」
大輝だ。
大輝とは家が近いから、学校へ行く途中でよく会う。
「はよ。」
そこから何時ものように二人で学校へ行った。
寒いとか、クラス替えどうなるかなとか、そんな話をした。
春休み中、大輝とは二回遊んだけどどちらも3月31日以前で、それ以降は何かと忙しくて遊べなかった。
本当は、あの時廊下で乃々香を抱きしめていたのは大輝だよな?って聞きたかったけど、返事が怖くなってやめた。
「そーいやさ、お前に言いたいことあるわ。」
学校が見えた。
そんな経ってないくせに懐かしく思う。
「んー?なに?」
適当に返事を返すと、強い風が吹き体が震えた。
4月の風はまだ少し冷たい。
「俺、乃々香と付き合う事になった。」
「ふーん……えっ?」
まず、何言ってんだこいつ、と思った。
ちゃんと聞いてなかったから、もう少しで聞き逃すところだった。
いや、乃々香が好きなのは俺だし。
……俺だよな?
だってあれは、俺が嘘にしちゃっただけで、本当は告白だった訳で。
それとも、もしかして本当に冗談だったやつ?
いや、あの反応でそれはないだろ。
でも確証はないか。
頭の中で自問自答を繰り返す。
あー、やっぱり、女心は分かんないや。