土曜日になった。



10時には大輝が迎えに来てくれる。


だから余裕をもって8時には起きた。



直ぐに朝ご飯を済まして、クローゼットの中と睨めっこ。


今日は天気も良いし薄着で大丈夫そうだな。



沢山悩んだ挙句選んだのは、紺のスカートに薄めの白のニット。


デートだからいつもより女の子っぽい服を選んだんだけど、変じゃないかな。



それから髪やらなんやらしているうちに、セットしていた10時10分前のアラームが鳴る。


準備も出来たし早めに出て待っていようと思ったのも束の間。



「おはよ。」

「あ、えっ、…おはよ。」

もう来てるとは思わず、変な声が出てしまった。


私のその反応に大輝は口元に手をやって笑う。



大輝は白のTシャツにベージュのズボン、デニムのシャツを着ていた。


背も確か170後半で高いし、オシャレでかっこいいな。



「まだ来てないと思ったの。」

って拗ねたら、


「乃々香なら早く出てくると思ったから。」

って軽く頭を撫でてくれた。



先を読まれたやつだ。



「じゃあ、いこっか。」

「うん。」


映画館行きのバス停へと、二人で歩いた。


今更ながら私なんかでは不釣り合いな気がする。



少しして大輝が急に立ち止まったと思うと、私の腕を掴む。



振り返るより先に、


「今日も可愛い。」


耳元でそう囁かれた。



思わず耳を抑えて大輝の方を振り返る。


ぶわぁって顔に熱が生まれ、赤く染まっていくのがわかる。



「よし、行こう。」

少し前を歩く大輝の耳が少し赤くなっていた。