「好き」
それはずっと言いたかった本当の気持ちだった。
目を合わせられなくなって無意識に俯く。
頬が熱い。
春真はもう何年もの付き合いになる一番仲の良い男友達で、いつもふざけ合っていた。
でも、いつからか恋心が芽生えた。
関係を壊したくない私はそれを隠し、彼の友達でい続けた。
だけどそれももうできなくなった。
今は春休み中、私は春真に一緒に勉強しようって誘い、二人で学校に来た。
私は文系、春真は理系だから、お互いに英語と数学を教えあった。
「わからない。」
って言えば、
「どこ?」
って聞きながら顔が近づいてくる。
春真は私の事、仲の良い女友達としか思ってないから、なんともない顔で丁寧に教えてくれた。
ドキドキしてる心臓の音が聞こえてないかな…。
働かない頭でどうにか理解しようと頑張る。
間違えたら
「ばかだな。」
って笑いながら頭を優しく叩かれた。
やっぱ、好き。
もうそろそろ帰るかってなった時、言ってしまった。
気持ちが溢れて止まらなかった。
見なくても、彼が戸惑っているのが分かる。
「お前、エイプリルフールは明日だぞ?」
それが本心なのか、遠回しに断られているのか、分からなかった。
彼は背を向け、帰る準備をしだす。
「……っ!」
嘘でしょ。
勇気を出して言った言葉を、君は嘘にするの?
「ばーか。あんたに1番に嘘ついてやろうと思って、フライングしてみた。ひっかかれよ。」
彼が振り返ったのに気づいて、上手く笑おうと思ったのに、唇が引きつった。
余計涙が出そうになったから、反対を向いて帰る準備をする。
「私用事あるから先帰るね。じゃあ、バイバイ。」
嘘をついた。
彼の顔を見る事が出来なかった。