「地味な女だなぁ……興味ない」

「あっちもそう思ってるよ。おまえみたいな不誠実そうな男なんか興味ないって」


それはなんか腹が立つ。

俺が興味ないのは当然のことだとしても、あの地味子にそう思われてるとしたらかなり癪だ。



「やっぱりおまえには無理だな」



ここで引き下がるのもなんか負けを認めたみたいでカッコ悪い気がする。



「余裕に決まってんじゃん。さっきの地味子だな? 落としてやる」


こうなったらさっきの地味子を引っ掛けて、絋也が納得する程度にテキトーに相手しとくか。


見た目はどうであれ、女は女だ。

どうせルックスの良い男に言い寄られればコロッと落ちるに決まってる。



「じゃあ……彼女と最低一ヶ月は付き合えたら、俺も認めるよ。お前のレベル上げ」


何故か余裕綽々な笑みを浮かべた紘也が、こう言って俺の表情を窺った。


多分、どうせお前には無理とか思ってんだろ。
その顔は……。



「わかったよ。やってやる」


こうなったら絋也を見返して、俺のレベル上げを認めさせてやる。


こうして紘也の挑発にまんまと乗っかり、俺は廊下で見かけた名前も知らない地味子を落とすことになったのだった。