~楓said~


診察室に入ると、
机に突っ伏している柊耶の姿があった。


息が荒く、酷く魘されている様子。



「おい!おいっ!!柊耶、起きろ…」


声を掛けるが一向に起きない。
仕方なく、肩を揺すって起こす。




すると、柊耶はぼんやりとした目で
こちらに目を向ける。



『ん……楓?なに?』


「何じゃねーよ!
おい、具合悪いんじゃねーの?」


『別に……大したことない』


はぁ?
この場に及んでまだ強がるのかよ……。


「大したことあるだろ?
とりあえず、計って。」

そう言って体温計を渡す。



柊耶は "嫌だ" と言わんばかりに
知らんぷりして、また机に突っ伏す。



「おいっ!」
呆れてちょっと低い声で怒鳴る。


すると、ビクッと身体を反応させた
柊耶が身体を起こす。


そして、俺が怒ったと思ったのか
その場から逃げ出そうとする。



フラフラと身体を揺らして俺の横を
通り過ぎ、診察室のドアに手をかける。


「おい!逃げんなって!!」


そう言いながら、俺の横を通り過ぎた
柊耶の方に振り向こうとした瞬間



"ガタンッ、バタッ"



大きい音がしたと思ったら、
柊耶がその場に倒れ込んでいた。