「それにしても」

沖田が周囲を見渡す。

「ヒノモトの都とはいえ、こんなに多くの人が集まっているのは初めて見ます。観戦客もいるとはいえ…この中のどのくらいが大会に参加するんでしょうねえ…」

国交を開いたヒノモトとしては、この大会を機に多くの惑星と星間貿易を始め、惑星を潤したいと考えている。

大久保が派手に宣伝を打ったのだろう。

無論、バックにはアマリリスの影がちらつく。

腹黒チビ、恐ろしい子っ。

とか思っていたら。

「ヒノモト内務卿杯武道大会参加の選手諸君に告げる!」

聞いたような声が、風に乗って聞こえてくる。

風の精霊シルフの力を使って、拡声しているようだ。

「この声…アマリリスだよね」

「何やってやがんだアイツ…」

顔を見合わせるグリフィノー兄弟。

「今大会によくぞお集まり頂きましたわ!今大会はヒノモトの威信を賭けた、宇宙全土の中で最強の剛の者を決める大会!存分に腕を振るってほしいのです!」

ヒノモトの人間でないアマリリスが、無責任にヒノモトの威信を賭けた、とか言っちゃってる。

傍で聞いてる大久保、ハラハラ。