「…そんな所だ、納得いったか馬鹿孫」

ヴラドはインバネスコートの埃を払い、立ち上がった。

「流石俺だ。策は功を奏し、橘 ベルというもうひとつの魔力供給源を持つに至ったダンドリッジ・タチバナという吸血鬼は、真祖であるこの俺を上回る事となった。やはり真祖の策は何者をも欺く」

まるでダンドリッジが勝てたのは、ヴラドの策のような言い草だ。

「何が違う?言っただろう。1対1の戦闘においては、貴様は魔力枯渇により敗北を喫していた」

悔しいが、そこはヴラドの言う通りであろう。

「貴様らは2人で1つの個体なのだ。馬鹿孫がエンジンであり、ベルがガソリンタンクだ。供給を怠るな。回らぬエンジンなど只の鉄屑に過ぎん」