ダンドリッジ・タチバナは、幼いうちに早くもマスターを持つに至った。

これでダンドリッジ・タチバナという強力な吸血鬼の存在が知れ渡ろうと、それがツェペリ家の血族である事が知れ渡ろうと、もう手出しは出来ない。

彼は『橘 ベルの従者』なのだから。

既に誰かの従者となった者を、迎え入れる事は出来ない。

彼らの世界の常識であり、鉄則。

口約束や書面ではない。

彼らの主従契約は、血の契約なのだから。

強引にどちらかを連れ去り、葬った所で、ダンドリッジは魔力供給の出来ない空っぽの吸血鬼にしかならない。