おっさんの胸に埋めていた私の頭を優しく撫でるその手に、零れそうになる涙を無理やり引っ込めて顔を上げた。
「おめでとう、リツカ。華の17歳だな」
俺とは8歳差か。と数えるおっさん。
1つ縮まった歳の差にほんの少し嬉しくなる。
「ありがとう、おっさん、ありがとう」
「17歳の朝をおっさんと迎えるなんて、駄目な女子高生だな」
ふざけたように笑うおっさんが憎たらしくて、私は思わずおっさんの腕をつねった。
全部、おっさんのせいだよ。
私の声をおっさんはいつも拾ってはくれない。
「おっさんも、貴重な17回目の今日を奪ったんだから責任とってよ」
挑発するように笑えば、おっさんは仕方ねえなというように笑った。
「でも、おっさんも今日は大事な日だから。悪いな。クラスメイトとでもケーキ食べなさい」
ほら、とテーブルを指さすその先にはいつの間にか四角い箱が置かれていた。一緒にいてくれないくせに、こんなの残していくなんてずるいよ。
おっさん、ねえ、