どこにでもいる女子高生に声をかけたのは、おっさんだった。

夜道をフラフラ歩く私をおっさんの世界へ連れていったのはおっさんだ。泣きじゃくる私を抱きしめたのも、全部おっさんからだった。


それでも、先に求めたのは私だ。

きっと私はあの夜を忘れたりしない。


欠けた月を眺めながら私は煙草の匂いのするおっさんにすがりついた。

愛してほしいと先に言ったのは、私だ。

あの夜、思いもしなかった。

誰でもいいと縋った相手がたった一人になるなんて。私の全てをかき乱す人になるなんて。きっと予感していたら、私はあの夜おっさんの温もりに身を沈めたりなんかしなかった。馬鹿だと思う。おっさんの薬指に見向きもせずに、恋に落ちて。

今じゃ薬指から目を離せないほどにおっさんに溺れている。